新社会人向け、5分でわかる確定拠出年金【企業型と個人型(iDeCo)の違いも説明】
こんにちは! アキオ(@hiroakio97)です。
今さらながら、個人型確定拠出年金『iDeCo』への加入を検討しています。
弊ブログでも紹介してきた通り、これまでアメリカ株とかFX自動売買とかいろいろチャレンジしてきたわたしですが、意外(?)にもこれまでiDeCoはノータッチだったのでした。
「貯蓄から投資へ」を合言葉に、NISA・積立NISAとならび政府が進める投資推奨政策の目玉・iDeCo。
掛金が全額所得控除される、非常に大きな節税メリットがあります。
が、育休中は給与所得がない為、所得控除の節税メリットを受けることができないんですよね。
(わたしは2017年に三男が生まれてから、2年間の育休を取っています。)
育休中は会社の給料の代わりに、雇用保険から育児休業給付金という手当てが支給されます。
が、これは”所得”ではなく”手当て”なので、所得税や住民税、各種社会保険料は免除。
参考記事:【意外と減らない!】育児休業給付金(育休手当)っていくらもらえる? 〜年収600万円・男性会社員の支給額 〜
育休中は節税メリットが得られない為、iDeCoへの加入を見送ってきました。
が、このたび三男の保育園入園が内定。
4月から職場復帰の見込みです。
というわけで、「復帰に合わせてiDeCoでも始めてみますかァ」と思い立ったのが数日前。
手始めに、手数料の安そうなネット証券3社(SBI証券と楽天証券、マネックス証券)に資料請求しました。
そこでフッと頭に浮かんだのが企業型確定拠出年金(以降”企業型DC”と表記します)のこと。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は上記の理由でこれまで未加入でしたが、実は企業型DC(Defined Contribution:確定拠出年金のこと)の方は10年前、社会人になった時に会社に勧められて加入したのを思い出したのです。
そんなわけで今回、10年間ほったらかしにしていたわたしの企業型DCを久しぶりにチェック。
当時の反省とともに振り返りました。
今回はその第一歩目として、そもそも企業型DCってなんなのさ?ってあたりからまとめてみます。
10年前のわたし同様「確定拠出年金ってなに? なに選べば良いかまるで分からん!」ってなってる新社会人の皆さん、今のわたしのように「会社に言われて入ってみたけど、ほんとにこれで良いの?」ってなってる旧社会人の皆さん、ぜひ参考に!
確定拠出年金は個人が運用する年金
次の記事ではわたしの企業型DCの具体的な運用の話をしたいと思ってるんですが、今回はその前段階として「そもそも確定拠出年金って何?」ってところからザッとまとめますね。
すでにご存知の方はここを飛ばして、こちらからどうぞ。
参考記事:【企業型DC資産配分】信託報酬が低いインデックス・ファンドがおすすめ
3階建ての年金制度と公的年金
よく「日本の年金制度は3階建」なんて言われますが、聞いたことはありますか?

まず、全国民が加入する国民年金(基礎年金)が1階部分。
次いで、会社員や公務員が加入する厚生年金が2階部分。
そして、厚生年金基金や退職金(年金払い退職給付)が3階部分。
下はiDeCo公式チャンネルの動画ですが、日本の年金制度がわかりやすく解説されているので参考に。
会社員の場合、1階・2階部分の国民年金と厚生年金は全員強制加入で選択肢はありません。
いわゆる公的年金ですね。
また、この2つ公的年金は掛金や加入期間によって給付される額が決まる種類の年金(確定給付年金と言います)で、加入者は決められた額の掛金を決められた期間払い、決められた時期が来たら決められた額の年金を毎月受け取ります。
オプションはほとんどなく、通常迷うことはありません。
(最近は年金の受給開始時期を選べるようになっているみたいですが、、まあそのくらいです)
確定拠出年金は加入者自身が運用判断する
一方、今回のテーマ『確定拠出年金』は3階部分に相当します。
個人型のiDeCo、企業型の企業型DC共に3階です。
まず第一に、3階部分は公的年金である1・2階のように強制加入ではありません。
iDeCoは加入者個人の意思で、企業型DCは加入者の勤務先企業の年金制度の一つとして従業員の希望に応じて、加入します。
企業型DCに関しては、掛金を始め細かなオプションは会社によって様々。
”企業型”の名の通り、企業が従業員のために社内に企業型DCの制度を用意していなければ社員はそれを使うことができません。
退職金の有無やその額が会社によって色々なのと同じですね。
さらに、企業型DC・iDeCoともに確定拠出年金では月々の掛金(拠出額)は決まっていますが、その運用方法は加入者に委ねられています。
月々一定の掛金で何を買うのか?(どう運用するのか?)は加入者が自分で決めなくてはいけないわけです。
具体的には、投資信託・保険・定期預金など候補の中から加入者が自分でもっとも良さそうなものを選ばなくてはいけません。
この点がGPIFが一括で管理・運用している国民年金&厚生年金との最大の違いですね。
企業型と個人型(iDeCo)の共通点・相違点
というわけで、確定拠出年金とは掛金を毎月積み立て(拠出)し、加入者が自分で年金資産の運用を行う制度です。
この前提は企業型も個人型も違いありません。
受けられる税制優遇も同じ。
じゃあ何が違うのかというと、掛金の拠出元が違います。
個人型では加入者が自分で拠出するのに対し、企業型では会社が拠出します。
従来の退職金制度では会社が従業員用の年金を管理・運用し、定年後に年金として支払っていたわけですが、企業型DCではその代わりに、毎月の掛金を拠出し運用部分は従業員にお任せ、というわけです。
そのほかの細かい点をまとめてみるとザッと以下の通りです。
共通点 自分で運用する年金、3つの税制優遇が受けられる
先にも述べたとおり、企業型DCとiDeCoの共通点は大きく2つ。
企業型DCとiDeCoの共通点
- 加入者が自分で運用する年金
- 投資先は自分で選ぶ。受け取る年金は運用結果次第
- 年金なので、受け取るのは原則60歳以降
- 3つの税制優遇
- 積立の際、掛金は全額所得控除
- 運用の際、運用益は全額非課税
- 受取の際、公的年金控除または退職所得控除が適用
ひとつ目の共通点は、加入者が自分で運用する年金だということ。
公的年金と異なり投資先は自分で選びます。
基本的には投資信託がオススメですが、定期預金や保険など元本保証型の投資先もあるのでご心配なく。
投資期間が長くとれる若いうちは株式中心の投資信託でリスクを大きく取り、ある程度資産が大きくなってきたところで債券中心の投資信託や定期預金のような低リスク商品に入れ替えていくのがセオリーです。
なお、注意が必要なのはあくまでも年金だということ。
積立てた年金資産は、原則60歳まで引き出すことができません。
長い期間、資産の一部が拘束されることになるので注意が必要です。
そしてもう一つの共通点は、積立・運用・受取り3つのフェーズで税制優遇が受けられることです。
積立てた掛金は全額所得控除されます。
具体的には、年収600万円(課税所得300万円くらい)の会社員が月に2万円(年間24万円)DCで積立てた場合、20%にあたる4万8,000円が年末調整などで返ってきます。
(課税所得195〜330万円の人の税率は所得税10%と住民税10%、合計20%。所得税は累進課税のため、所得が多い人ほど節税効果も大きくなる)
年間4万8,000円、30年間積立て続ければ144万円が節税される計算です。
その上、運用益は全て非課税。
通常であれば20%引かれるはずの税金が非課税で、配当や分配金も勝手に再投資してくれます。
複利の効果を余すところなく、完全に享受することができちゃいます。
そして受取りも控除の対象に。
年金として分割で受け取る場合は公的年金控除、
一時金として一括で受け取る場合は退職所得控除が適用されます。
ちなみに、公的年金控除は、60歳からの年金受取りでその他公的年金と合算で月70万円まで非課税。
65歳からの受取りだと、その他公的年金と合算で月120万円まで非課税となります。
同じく、退職所得控除はその人の勤続年数や積立期間に応じて退職金が非課税となる仕組み。
例えば、30年間積立てた場合はその他退職金と合わせて1,500万円が非課税となります。
この辺は、実際に自分が受取る年齢になってから、その時の運用額や経済状況に応じて、最適な受取り方法を検討すべきですね。
相違点 掛金の上限と商品選択の自由度が違います
共通点を確認したので、次は相違点を見ていきましょう。
企業型DCとiDeCoの相違点
- 掛金の出どころ
- 掛金の上限
- 掛金が社会保険料の対象となるか否か
- 口座管理料などの手数料
- 金融機関・投資商品の選択の自由度
対照表にしてみるとこんな感じ。
企業型DC | iDeCo | |
掛金の拠出元 | 会社が負担 | 自分で負担 |
掛金の上限 | 月に最大55,000円 *勤務先によってその他条件あり | 月に最大23,000円(会社員) 月に最大68,000円(自営業者) *勤務先によってその他条件あり |
社会保険料 | 掛金は社会保険料免除 | 社会保険料は免除されない |
手数料 | 会社が負担 | 自分で負担 |
選択の自由度 | 金融機関を選べない(会社が決める) 商品は会社の決めた金融機関が提供する中から選ぶ | 金融機関を自由に選べる 商品は自分で決めた金融機関の提供する中から選ぶ |
特に大きなポイントとなるのは掛金の上限と選択の自由度です。
まず掛金の上限に注目します。
掛金が大きくなればなるほど、控除額も大きくなるので節税効果が高まります。
なので、(あくまでも余裕のある範囲で)掛金は大きいほど良い。
上の対照表の通り、一般的な会社員であれば企業型DCの方が掛金が大きく取れるため、掛金と節税効果の点ではiDeCoよりも企業型DCの方が優れています。
もっとも、会社は常に全社員に上限いっぱいの5万5,000円を拠出してくれるわけではありません。
一般的には社員の勤続年数や役職によって掛金が上がっていきます。(普通の退職金と同じですね)
現在入社10年目のわたしの例だと、会社が拠出してくれている額は月々2万6,000円ほどです。
もちろん額は勤務先の会社によって違ってきます。
掛金の上限は5万5,000円、会社が拠出してくれるのが2万6,000円、、
2万9,000円分枠が残っていますね。
もったいないと思いますか?
企業型DCでは、この残りの枠の範囲内で自分で掛金を上乗せすることも可能です。
これをマッチング拠出と呼びます。
マッチング拠出した分も税制優遇を受けることができますので、資金に余裕があれば積極的に利用したいところです。
なお、マッチング拠出に関しては、対応している会社とそうでない会社があるようです。
詳細はお勤め先の人事・総務に直接確認する必要があります。
会社の年金規定によっては「マッチング拠出はできるけどiDeCoには加入できない」など、色々な条件があるので要注意です。
掛金や掛金、節税効果の点では企業型DCに軍ぱいが上がりましたが、運用効率の面ではどうでしょう?
そもそも確定拠出年金は自分で運用する年金、自分で増やす年金です。
いくら節税効果が高くても、肝心の運用の方で利益がなければ本末転倒でしょう。
そんな運用効率に深く関わってくるのが、金融機関と商品選択の自由度です。
企業DCにせよiDeCoにせよ、開設できる口座は一人ひとつ。
証券口座のように、「楽天証券と大和証券と、、それからSBI証券にも口座開いちゃお😗」なんてことはできません。
そして、金融機関によって扱う商品のラインナップが異なります。
加入者が金融機関を自由に選べるiDeCoであれば、手数料が安くて自分にあった良い商品のある金融機関を選んで、そこに口座開設すれば良いのですが、、
会社が金融機関を選択する企業型DCではそうもいきません。
企業型DC加入者は勤務先によってあらかじめ決められた金融機関のなかで、自分なりのポートフォリオを組むことになります。
決められた金融機関の中に自分にあった商品がラインナップされていれば結果オーライです。
が、しっくりくるものが無ければ、どこかで妥協することになります。
つまり、企業型DCと比べ、iDeCoの方が商品の選択肢が多い分、後悔の少ない運用ができる可能性が高いということです。
ちなみに、わたしの会社の企業型DCの場合、金融機関はみずほ銀行でした。
「銀行が勧める投信ってロクなものがない😵」ってイメージですが、、
その実態は次の記事でまとめます。
商品選びのポイントも合わせて解説するので、興味のある方は是非ご覧ください。
まとめ まずは会社に確認しよう!
というわけで、『新社会人向け、5分でわかる確定拠出年金』でした。
制度の概要が理解できたら、次はお勤めの会社の人事部に退職金・年金制度の社内規則を確認してみましょう。
具体的には、以下の4点が重要です。
- 企業型DCに加入できるか?
- 厚生年金基金や確定給付企業年金、その他年金払い退職金など、企業型DC以外の年金制度が用意されているか?
- (企業型DCが導入済みの場合は)マッチング拠出ができるか?
- 会社の年金制度とは別に、iDeCoにも加入できるか?
上記4点が分かったら、あとは自分のライフプランやふとごろ具合と相談して、自分にあった年金運用方法を選びましょう!
わたしが社会人になった10年前は、投資のことも年金のことも正直何も分かっていませんでした。
そんなわたしでも大きな失敗がないように、優しくデザインされたのが現在の企業型・個人型(iDeCo)の確定拠出年金だと思います。
「勧められたままになんとなくやっててもある程度の運用利回りとある程度の節税効果がある。」
そんなシステムです。
でも、せっかくのお得な制度ですから、概要くらいはしっかり理解した上で賢く活用したいもんですね。
なお、確定拠出年金や年金、老後資産について、もっと詳しく知りたい方はこちらの本がオススメです。
「老後資産の形成には確定拠出年金が最強!」ということで詳しく解説しています。
その他、積立NISAやふるさとの納税、生命保険、持ち家購入、、とお金にまつわる気になるトピックがたくさんです。
次回は、自分の企業型DCの見直しを機に、具体的な金融商品の選び方について考えます!
ではでは。
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