絵本「としょかんライオン」 子供と一緒に考える「きまり」のこと

こんにちは! 育休パパのアキオ(@hiroakio97)です。
突然ですが、皆さんは「きまり」って聞いてどんなものをイメージしますか?
堅苦しいような、新鮮味がないような、昔苦手だった学校の先生なんかを思い出す人もいるかもしれませんね。
わたしも同じで、なんとなくネガティブなイメージを持っていました。「としょかんライオン」という絵本を読むまでは。
というわけで、今回はうちの子供たちも大好きな「としょかんライオン」という絵本を紹介します。
寝かしつけのお供としてはもちろん、お子さんと一緒に社会のきまりやルールについて話し合うきっかけにも、いかがでしょうか?
*以降、”イタリック(斜体)”で書かれた部分は『としょかんライオン』からの引用です。ブログ上での読みやすさを考慮して、一部ひらがなを漢字に置き換えています。
*画像も作中の挿絵を引用しています。
「としょかんライオン」のあらすじ
物語の舞台となる図書館には2人の職員さんが働いています。
一人は図書館長のメリウェザーさん。
もう一人は図書館員のマクビーさん。
どちらもユニークで魅力的な登場人物です。
ふたり共、図書館の職員さんらしく”きまりについてはなかなかうるさい ”人たちです。
でも、「きまり」に対する考え方は対照的。
ある日、ふたりの図書館にフラっとライオンがやって来ます。
図書館員のマクビーさんは慌てました。
”図書館のきまりにはライオンがやって来た時のことなど、何も書いていない ”からです。
一方、図書館長メリウェザーさんの対応はマクビーさんと正反対です。
慌てるマクビーさんに「で、そのライオンは図書館のきまりを守らないんですか?」とたずねます。
ライオンがお行儀よく図書館を楽しんでいることを知ると「それなら、そのままにしておきなさい」と言います。
”図書館のきまりにはライオンがやって来た時のことなど、何も書いていない”からです。
図書館が気に入ったのか、ライオンは毎日図書館にやってくるようになります。
やがてライオンは図書館のきまりに慣れ、利用者たちからも愛される存在になりました。
としょかんにくるひとたちは、はじめのうちはライオンが すこしこわかったのですが、だんだんになれてきました。としょかんに ライオンがいるというのはなかなかいいものです。ライオンのおおきなあしはあるくとき ちっともおとをたてないし、おはなしのじかんには こどもたちが ゆったりとライオンによりかかっていられます。それに、ライオンはもうとしょかんのなかで ほえることはありませんでした。

そんなある日、図書館長のメリウェザーさんが足を滑らせてケガをしてしまいます。
それを見ていたライオンは、マクビーさんに事故のことを伝えようとアレコレ試しますが、思うように伝わりません。
結局、ライオンは大きな声でほえました。
ライオンのおかげでメリウェザーさんのケガは大事に至りませんでしたが、きまりを守れなかったことに責任を感じたライオンはひとりうなだれて図書館を出ていきます。
その日以降、ライオンが図書館に戻ってくることはありませんでした。
としょかんにきたひとたちは、ほんをさがしたり、コンピュータでしらべたりしながら、いつものように、あのおおきな ふさふさのかおを みたいものだとおもっていました。でも、ライオンはとうとうやってきませんでした。
つぎのひも、ライオンは きませんでした。
そして、そのつぎのひも。

落ち込むメリウェザー館長といつもとどこか様子の違う図書館を見たマクビーさんは、ライオンを捜します。
やっとライオンを見つけた彼は、ライオンに図書館のきまりが変わったと伝えます。
「おおごえで ほえてはいけない。ただし、ちゃんとしたわけがあるときは べつ。つまりその、けがをしたともだちを たすけようとするときなど、ってことですけどね」
翌朝、ライオンは図書館に戻って来ます。そして、物語をこう締めるんです。
たまには、ちゃんとしたわけがあって、きまりをまもれないことだって あるんです。
いくら としょかんのきまりでもね。

絵本の教訓 「きまり」って?
いかがでしょう?
絵本「としょかんライオン」の魅力が少しでも伝わりましたか?
最低限の「きまり」さえ守れば、あとは無条件に(たとえライオンでも)受け入れてもらえる場所、それがこの絵本の「図書館」なんですね。
「きまり」は利用者の自由を制限するものではありません。
むしろ自由への切符みたいなものでしょうか。
ここまで読んでいただいた方はすでにお気づきかもしれませんが、このブログの名前「いくら図書館のきまりでもね」は、この絵本からとらせてもらっています。
世の中がこの「図書館」みたいな温かい場所なら良いなという想いを込めて。
感想
ライオンが図書館にやってきた当初、きまりがないからと慌てて追い出そうとするマクビーさんと、きまりがないから受け入れようと言うメリウェザーさん。
二人の反応の違いがとても面白いと感じました。
現実にも結構いますよね、マクビーさんみたいな人。
現実社会での「ライオン」
例えば、仮想通貨やドローン、遺伝子工学などなどがライオンです。
テクノロジーの進歩は社会制度の整備を待ちません。
物語の中のライオンのように、ある日突然わたしたちの前にやって来ます。
最初は法律や税金、倫理的な問題、社会階層間のギャップなど課題がたくさんあります。
社会制度ができても人の心や習慣がそれに慣れるまでにはさらに長い時間が必要です。
多くの人はマクビーさんのように拒絶反応を示すかもしれません。
でも人は変化に慣れる生き物です。
メリウェザー館長のように受け入れてくれる人が少しでもいれば、そのうちみんな物語の中の図書館の利用者さんたちのように
「やくにたつ ライオンだね」と、みんなは いいました。ライオンが とおりかかると、やさしくあたまをなでて、「としょかんは、ライオンがいなければやっていけないよね」と、いうのでした。
なんて風に変わっていたりするんです。
ひょっとしたらあなたも「マクビーさん」
もっと身近なところだと、残業削減とか女性の社会進出、パパの育休みたいな働き方改革なんかも身近なライオンの例でしょう。
「社会を少しでも良くしたい」と思い行動に移す人たちがいる一方、それに反対する人たちもいます。
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周囲にマクビーさんが多すぎると閉塞感を感じてしまいますね。
でもそんなわたし自身、時と場合によってマクビーさんになってしまうことがあるんです。子育て中は特に、そんなことがよくあります。
子どもが突然「犬飼いたい!」なんて言い出したりするとね、、
つい、反射的にマクビーさん化しちゃうんですよね。
まあ、実際に犬を飼うかはさておき、じっくり話し合うくらいの心のゆとりはいつも持ってたいもんです。
データ
著者 | ミシェル・ヌードセン さく ケビン・ホークス え 福本友美子 やく |
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出版社 | 岩崎書店 |
出版年月日 | 2007/04/20 |
ISBN | 9784265068173 |
判型・ページ数 | 41ページ |
定価 | 本体1,600円+税 |
詳細は出版社ホームページをご覧ください。
この記事を書く際 オリジナルの英語版も読んでみたんですが、とても分かりやすい文章でした。
子供と英語の勉強をするのに絵本というのはなかなか良い教材になるかもしれませんね。
Youtubeなどで簡単に原文が読める、良い時代になりました。
まとめ
我が家では当時5歳の長男のために買ったのですが、2歳の次男もとっても気に入っていつも真剣に聞いています。
わたしはこの絵本を読んで、息子たちに「きまりとかルールっていうのは、君たちがやりたいことを邪魔するものじゃないんだよ」と話してみました。
2歳の次男にはまだ少し難しかったかなぁ。
5歳の長男は「自由」について色々考えている様子でした。
マクビーさんが心変わりする、少し絵本的な展開もあってとても心温まるラスト、挿絵も物語の雰囲気によくあっています。
子ども達に向けた教訓もあり、オススメの1冊です。
絵本『としょかんライオン』、気になった方は是非手にとって読んでみてください。
ちなみに、絵本ナビさんで全文試し読みが可能です。
最後に、これまで私が書いた絵本のレビュー記事のリストです。
どれも良い絵本なのでお時間あれば読んでみてください😀
ではでは。
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