【繰上げ返済の効果は年利1%以下】住宅ローンを4年で完済して後悔したこと

こんにちは! アキオ(@hiroakio97)です。
突然ですが、『人間万事塞翁が馬(じんかんばんじさいおうがうま)』という言葉をご存知ですか?
中国の故事で、「人の一生は奇妙なもの。物事の善し悪しは後になってみないとわからない」という意味です。
英語圏でも『Que Sera, Sera.(ケ・セラ・セラ、なるようになる)』や『Life is like a box of chocolates.(人生はチョコレートの箱のようなもの。中身は開けてみるまでわからない。映画『フォレスト・ガンプ』より)』なんて言葉があります。
なぜ急にこんな話をするのかというと、、
こないだ妻と散歩していて、住宅ローンの話になったんです。
わたしは結婚4年目、長男 3歳・次男の誕生直前に家を建てました。わたし自身は29歳でした。
3,000万円、35年ローンです。
一生懸命 繰上げ返済して、当初の予定よりもずいぶん早く完済することができました。
当時は『銀行にはらう利息=無駄金』という認識で、とにかく利息を払うのが嫌で嫌で仕方なかったんですね。
完済した時は素直に嬉しかったです😄
夫婦で協力して、ひとつ目標を達成したわけですから。
記念に揃いの時計を買いました。
完済後、それまでローン返済に充てていたお金が投資に回りました。
(投資を始めてから今までの成績は、こちらの記事をみてください。)
1年ほどして投資が軌道に乗り始めると、今度は逆に がんばって繰上げ返済したことを後悔するようになりました。
「住宅ローンの金利より資産運用の利回りの方がずっと高いじゃん!」ということに気づいたわけです。
なんせ 繰上げ返済した資金を投資しに回していれば、この数年だけでも数千万円の利益が出ていたはずですから。。
まあ、いくら悔やんでも返してしまたお金は戻らないので、あまり考えないことにしました。
ローンを組んだ当時は投資なんて全く考えていませんでしたから、仕方ないです。
(株はお金持ちのすることだと思ってました。。無知って怖い)
その後めでたく第三子を授かり、わたしは育休に入ります。
すると、後悔していたはずの繰上げ返済が、不思議となんだか悪くない選択だったような気がしてきます。
育休中は雇用保険から育児休業給付金が出るとはいえ、育休前の給料よりは若干減るからです。
育休やその後の時短勤務を考えると、収入が心許ない時期に固定費の最たる住居費が一切かからないというのは大きな安心材料です。
仮に育休終了後にリストラされるようなことがあっても「最低限、家族と自分が暮らす家はある」と思うと心強いですよね。
そんなわけで「住宅ローン、塞翁が馬だよね」なんて話を妻としたました。
ローンを組んだ時は「自分達に投資なんてできるわけない」と思っていたし、3人目が生まれることも自分が育休取ることも想定していなかった。
この先だって、どうなるか誰にもわかりません。
何かの事情で転居するかもしれないし、事故や病気で働けなくなることもあるかもしれない。
自分だけじゃなく、世間も変わっていきます。
インフレが猛烈な勢いで進行するようなことがあれば、再び繰上げ返済を悔やむことになるでしょう。
結局のところ、変化の激しい今の時代、35年はあまりに長すぎるんだと思います。
この先35年間に何があるかなんて、とてもじゃないけど予測がつかない。
それでも、わたしの経験がこれからローンを組む人・現在ローン返済中の誰かの役に立つかもしれません。
前置きが長くなってしまいましたが、住宅ローンを4年で完済した話です。
わたしがローンを完済した今 考えていることをまとめます。
我が家のローン、大公開
まず最初に、我が家のローンがどんなだったかサラッとお話ししますね。
冒頭にも書いた通り、3,000万円を35年ローンで借りました。
2013年末、わたしが29歳の時のことです。
一定の条件を満たした長期優良住宅が金利の優遇が受けられる、住宅金融支援機構のフラット35Sエコという商品で、金利は最初の5年間が1.1%、次の5年間は1.5%、以降25年間は1.8%でした。
月々の返済額は、時期によって若干異なりますがだいたい9万円前後ですね。

完済までにかかった期間は3年半。
当時夫婦で1,000万円ほど貯金があり、親からも200万円援助がありました。
この1,200万円はローンが始まってすぐに繰上げ返済に充てたので、この3年半の間に家計をやり繰りしながら頑張って返済したのは実質1,800万円ほどです。
年間600万円弱を家計から捻出したことになりますね。
以前、育児休業給付金の記事でも少し触れましたが、わたしの年収がちょうど600万円くらいです。
妻は長男が生まれて以来ここ何年か、産休やら育休やら時短やらで1年間フルに働いた年がなく、その間の彼女の年収を正確に把握するのは難しいんですが、まあざっと400万円前後でしょう。
当時、投資や資産運用なんて全く頭になかった私たちは、会社からの給料と日々の節約だけで住宅ローンを完済しました。
つまり、世帯年収1,000万円の夫婦が普段の生活費を300〜400万円くらいに抑えれば、特別なリスクを負わなくても10年かからず住宅ローンを完済できるってことですね。
【シミュレーション】繰上げ返済でどれだけ得した? どれだけ損した?
先ほどサラッと、”住宅ローンの金利より資産運用の利回りの方がずっと高い”なんて書きましたが、、一体どれくらい違うんでしょう?
シミュレーターを使って計算してみました。
我が家のローンは3,000万円、金利は1.1〜1.8%で当初の予定だと35年で完済の予定でした。
この場合、完済までの35年間の総返済額は3,893万円。

元金との差額は893万円。
つまり、35年の間に約900万円の利息を収める必要があるってことですね。
金利が低くても35年の複利だと、なかなかインパクトのある数字になります。
一方 我が家の場合、3年半でおよそ2,700万円の繰上げ返済をしています。
すると、総返済額は3,068万円となります。
*実際にはもっとこまめに繰上げ返済しましたが、ここでは話をシンプルにするため”3年目に2,700万円一括”としています

この間に支払った利息は68万円。返済期間は31年間短縮されています。
先ほどの893万円と比べるとずいぶんとかわいい数字になりました。
というわけで、我が家では2,700万円 繰上げ返済したことで、31年間に824万円のコストを省けたということになります。
いかがでしょう?
額が大きいだけに、悪くない数字に見えますね。
ところが資産運用的に考えるとどうでしょう?
資産運用的に捉えると、2,700万円を投資して31年間に824万円のリターンを受け取ったと考えられるわけですが、、
これを年利にするとたったの0.86%です。国債や下手すると銀行預金の利回りより低い。
一方で、この2,700万円を利回り5%の投資信託にでも投資していれば、31年後には億り人です。
資産は1億2,000万円を超えます。。
もったいないですね😞
以上、わたしの借入条件でのシミュレーションでした。
借入額や金利、変動金利・固定金利の違い などなど、個別の条件でも結果は違ってきますが、参考にはなるんじゃないでしょうか?
繰上げ返済で数百万〜数千万円のコストを確実に削減するか、その分の資金を堅実な投資にあてて数億円の利益を狙うか、、
今のわたしなら迷わず後者を選びますが、皆さんはいかがですか?
繰上げ返済は資産を減らす!
別の視点で見て見ましょう。
繰上げ返済にせよ投資にせよ、リスクと利回りのバランスが違うだけで本質的には資産を運用しているわけで、そこに大きな違いはありません。
ただし、繰上げ返済は負債を減らすことで家計のバランスを取ろうとしているのに対し、投資は資産を最大化しようとしている点が異なります。
住宅ローンにまつわる家庭の資産の変化をバランスシートで解説します。
(バランスシートとは財務諸表の一つで、貸借対照表とも呼ばれます。資産に占める負債と自己資本の割合を示し、常に左右の合計値が等しくなるのが特徴です。)
まずは住宅ローンを組む前の状態。

ここで3,000万円の自宅を購入し、その費用を全額 住宅ローンで賄うとこうなります。

一気に負債の割合が大きくなり、バランスシート全体も巨大になります。
自己資本比率(資産に占める純資産の割合)は3割、企業なら投資をためらうレベル。
家計としては一世一代の大勝負感、あります。
急に負債が大きくなるので不安になりますが 実際のところは、収入と支出のバランス(キャッシュフロー)がプラスで安定していれば問題はありません。
収入は毎月の給料、支出は生活費とローンの返済です。
資金がショートしないようにだけ気をつけましょう。
ここで、負債が大きいことが不安だったりストレスを感じてしまう人、もしくは銀行に払う利息をもったいないと思う人は繰上げ返済という選択をします。
わたしは後者の理由で繰上げ返済しました。
我が家の例のように、現金預金1,500万円のうち1,000万円を繰上げ返済に充てるとバランスシートはこうなります。

繰上げ返済した分、負債と資産が減り、ひとまわりコンパクトなバランスシートになりますね。
自己資本比率も3割から4割へ回復しています。
ここで注意が必要なのは、全ての現金預金を繰上げ返済に充ててしまわないことです。
毎月のキャッシュフローが安定していても、事故や病気、お祝い事など何かと突発的な出費はあるもの。
我が家は全力で繰上げすぎて、一瞬ショートしかけた経験があります。
(クレジットカードのキャッシングでことなきを得ました。。翌月にすぐ返済したため利息は発生しませんでしたが、危なかった😅)
車の買い替え費用や子供の教育費など、数年内に必ず必要になるとわかっているお金は手元に置いておいたほうが無難です。
その時になって改めて自動車ローンや奨学金を借りたのでは、繰上げ返済の意味がありません。
住宅ローンは金利も返済期間も、もっとも優遇された借り手に優しい借金です。
一方、繰上げ返済せずにこの1,000万円を投資に充てるとどうなるかというと、、

パッと見た感じのバランスシートの形に変化はありません。
負債は巨大なままです。
が、よく見ると資産の中に新たに”金融資産”の項目が追加されています。
つまり、投資には繰上げ返済のような即効性はありません。
この投資が効果を発揮するのは5年後、10年後のことです。
金融資産の値上がり益・配当益が純資産に積み増しされ、時間とともにジワジワとあなたの資産を増やしてくれます。
増えた資産は再投資することをお忘れなく😃
結局のところ、繰上げ返済すべきか否か
以上、投資との比較にスポットを当てて繰上げ返済について語ってきました。
あなたにとって繰上げ返済と投資、どちらが魅力的に見えましたか?
早々と繰上げ返済で住宅ローンを終えてしまったわたしですが、今はその選択は間違いだったと思っています。
冒頭にも書いた通り、子供が生まれて育休に入った身としては 少しでも荷を軽くしておきたいものです。
住居費がかからない今の状況は正直心地よいです。
それでも、先のシミュレーションの通り、将来かなり高い確率で『億る』チャンスを不意にして、800万円程度の小銭(というにはいささか高額ですが)を得たことに、わたしは満足していません。
何より惜しいのは、わたしが『何も知らなかった』ことです。
投資のリターンもリスクも、ここに書いたようなことを全て知った上で、「わたしの一生の中から800万円のコストを確実に減らす!」って決めて繰上げ返済を選択するなら何の問題もないんです。
でも、わたしはそうじゃなかった。。
知らない人は損するようになってるんだなぁ、って後になって気付きました。
ちょっと話が横道に逸れましたね。戻します。
そんなわけで、「将来、資産を築きたい!」と思ってるなら間違いなく繰上げ返済よりも投資が近道です。
わたしはこの先もう一度住宅ローンを組むことがあっても、もう繰上げ返済はしないでしょう。
金利の低い住宅ローンは多少の利息を払ってでも借入期間35年を目一杯使ってのんびり返済。
その間、余裕資金は堅実な投資にまわす。
35年後、ローンを完済する頃には億り人。
というのが、経済的に合理性のあるやり方です。
「繰上げ返済、すべきか否か?」の答えは、「繰上げ返済よりも投資を優先すべき」で間違いありません。
「それでもやっぱり繰上げ返済したい」って人のために、もうひと記事書きました。
よければこちらも合わせて読んでいってくださいね。
まとめ 資産を築きたければ繰上げ返済より投資が合理的
ということで、「資産を築きたければ繰上げ返済より投資しろ!」というお話でした。
家を建てて(住宅ローンを組んで)、私たち夫婦はたくさんのことを学びました。
将来のことやお金のことを考えたり、投資を始めたり、インテリアやデザインに興味を持つきっかけにもなりました。
繰上げ返済したこと自体は失敗でしたが、それがきっかけでこうして色々学んで来れたことはとても良かったと思っています。
そして、こうして改めて記事にしながら思うのは、「子ども達には同じ轍を踏んでほしくない!」ってこと。
わたしの両親や友人たちは、どうして「効率よく資産を増やしたいなら、繰上げ返済するより投資したほうがいいよ」って教えてくれなかったのか。。
せめて自分の子ども達には正しいお金との付き合い方を伝えていきたいと思っています。
ではでは。
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